- 楽天成功失敗例
- 2019年1月24日
失敗事例:ワンマン経営者の思い込みが引き起こすネット通販崩壊事例
ビジネスオーナーが「これなら間違いなく売れるだろう」という甘い見通しでネットショップを始めることがありますが、現実は厳しいもので、想定外の苦戦を強いられることが少なくありません。ネットショップは物が売れやすいと思われがちですが、実際にはユー……
昨年の晩秋、アパレル業界からネット販売に踏み出したお客様の厳しい実例をご紹介いたします。残念ながら、楽天市場とYahoo!ショッピングの同時運用にもかかわらず、半年間の営業で売上ゼロ。一品も売り上げがなかった結果、お客様から「メルカリ自分でやった方がいいわ!」との暴言を受け、短期間でお別れすることとなりました。敗因の分析と反省を通じて、以下にその要因をご紹介します。
当該ネットショップの商品の平均単価は約20,000円。このセレクトショップは高級志向で、リアル店舗では地元の顧客が毎日訪れています。商品価格もイオンなどとは比べ物にならないほど高価で、ネットショップでも非常に高額に設定されていました。
誤解しないでいただきたいのは、「割高な商品はネットでは売れない」ということではありません。割高な商品を成功裏に販売するには、それ相応の演出が必要です。それはつまり「画像」です。高価な商品を販売するには価格以上の価値を見せる必要があります。例えば、ZOZOTOWNが人気なのも「モデル」を使い、着用シーンをメインとした商品一つ一つの見せ方が非常に丁寧で綺麗だからです。
しかし、このお店はそれにコストをかけませんでした。撮影代はケチって、自分達でスマホで撮影した商品画像。どこかからコピーしてきたであろう雑な説明文、それでいて販売価格は極めて高額。このギャップでは売れるわけがありません。
そしてもう一つ、扱う商品は全て「在庫」でした。リアル店舗で売れ残った商品をネットで処分したいという気持ちは理解できますが、リアルで売れない商品がネットで売れるとは考えにくいでしょう。確かに、ネット販売では「なんでこんなものが売れるの?」というケースもあるんですが、今回はそれが成り立ちませんでした。
やはり「売れ残りをネット通販で処分する」というのは、こちらの都合の良い思い込みであり、ユーザーのことを十分に考慮していない考えと言えます。また、在庫だけを扱っていると商品カテゴリーがバラバラになり、お店の特徴がわかりにくくもなります。
例えば、アパレルショップと名乗っていても、実際に販売されているアイテムは携帯ケースが最も多い、といった具合になっていました。
このアパレルショップの挑戦から得た結論ははっきりしていると思っています。高級志向な商品のネット販売は十分な演出が欠かせません。商品の価格以上の価値を伝えるためには、画像や商品説明文にこだわり、プロフェッショナリズムを追求することが必要です。高級志向であるからこそ、そのブランド価値を損なわないよう注意が必要です。
また、在庫処分のためのネット販売は慎重に行うべきという事も学びました。売れ残り商品をただ処分するのではなく、ユーザーのニーズに合わせなければうれないのです。思い込みや勘違いに基づく行動は逆効果となり、ユーザーにとって魅力的でない店舗となる可能性が高まります。
この実例を通じて、成功のためには慎重な計画とプロフェッショナリズムが不可欠であることを再認識しました。ネット販売においては、ユーザーの期待に応えるために品質とプレゼンテーションの両面に力を入れることが成功の鍵と言えるかもしれません。